膀胱炎

紀元前のローマ時代では、「トイレに行かない女性ほど高貴である」とされました。
これはトイレの状況が悪かったからと聞きますが・・・
そのため良家の子女は幼い頃からオシッコを我慢する訓練をして、1日1回しかオシッコに行かなかったそうです・・・膀胱や腎臓に悪そうですね。

皆さんご存じのように、膀胱とは一言で言えば「オシッコをためる袋」です。
おへその後ろの方で太股の付け根付近にあります。
ここにオシッコがたまって来ると、おへその方へ動いてきます。
太っていない仔では、オシッコがたまってくると膀胱の膨らみが触って分かります。

【オシッコをガマンする仕組み】

オシッコがたまってきたとき「オシッコをガマンする」必要があります。
このオシッコを我慢する仕組みは、脳にある「オシッコ我慢神経」と、膀胱にある「オシッコに行きたい神経」の二つの神経のバランスにより、尿道を閉めている筋肉(外括約筋)がしっかりと閉まってオシッコが漏れないようになってます。

しかし、頭に呆けや傷害などの問題が起きてオシッコ我慢神経のふんばりが弱くなると、オシッコが近くなります。
また我慢神経が正常でも、膀胱炎などによりオシッコに行きたい神経が緊張すると、膀胱が満タンという誤った情報が伝わり、オシッコが近くなるのです。

【膀胱炎とは】

一般的には大腸菌やブドウ球菌などの細菌感染により、 膀胱の炎症を起こす病気です。
また、膀胱結石などが原因となることもあります。

細菌感染はメスに多く、そのほとんどは尿道からの感染によります。
これはオスよりメスの方が尿道が短いため、膀胱に細菌が侵入しやすいためです。
オスの場合は前立腺肥大、前立腺炎などの基礎疾患に合併して起きる場合があります。

老齢になったり脊髄障害を起こしオシッコを出す力が衰えてしまい、膀胱からオシッコが出きらないでいると細菌が繁殖し膀胱炎を起こしやすくなります。

【症状】

オシッコに血が混じり、いわゆる血尿と呼ばれる症状が出ます。
これは細菌により膀胱粘膜が傷つくことによります。

血尿の原因が腎臓の場合、血は尿と良く混ざってしまうのに対し、膀胱からの出血は尿と均等に混ざらないで出てくることがあります。
そのため膀胱炎では血尿は出始めから終りまで同じ濃さではなく、膀胱がからっぽになる最後に強くなる傾向があります。

もし血尿が出たときは、赤いのがオシッコ全体か、終りだけなのか、出始めだけかを見て下さい。
病気を診断する上で、とても良い情報となります。

何度もオシッコをする、頻尿という状態になります。
オシッコが終わったあと、ぽたぽたとオシッコが漏れたりもします。
細菌が増殖してくると、排尿時に痛がることもあります。

膀胱炎では発熱は普通は見られません。
熱が出るときは細菌が腎盂までたどり着き腎盂腎炎を起こしているか、副睾丸炎、前立
腺炎を起こしている場合がありますので、注意が必要です。
腎盂(じんう)とは、腎臓の中にあるオシッコを一時ためておく袋状の組織です。

【診断】

診断は、尿検査と尿の中の細菌培養から行います。
これらの検査を受けるときには、オシッコの取り方に注意が必要です。

正しい尿の採り方は中間尿と言って、出始めの尿ではなく、出続けているオシッコにさっとコップを差しだして採るのが理想的です。
メスの場合には、カテーテルと呼ばれる細い管を膀胱まで入れて採った尿が理想的です。

またオシッコをじょうずに採っても、検査を行うまでの時間が長いといけません。
オシッコを朝の散歩の時に採って、仕事が終わった夕方に病院に持って行く・・・これはいけません。
せっかく採ったオシッコに、細菌がいっぱい繁殖してしまいます。
オシッコをお家で採る場合は、主治医の先生や病院スタッフに注意事項を良くお聞きになって下さい。

尿の中に細菌が見られない場合は、非細菌性膀胱炎となります。
この非細菌性膀胱炎の治療法は、細菌性膀胱炎とはまったく異なります。
また膀胱炎と思っていたら、膀胱癌だったこともありますので注意が必要です。

膀胱炎の症状がなかなか消えなかったり再発する場合には、腎臓や膀胱造影によるレントゲン撮影などの精密検査を行う必要があります。

【膀胱炎にならないための注意】

膀胱炎は、再発しやすい病気です。

ワンちゃんの場合は、散歩などの運動を十分に行いきれいな水をたっぷり飲ませ、たくさんオシッコさせるようにしましょう。
ネコちゃんの場合も、いつも新鮮な水をたっぷりと用意しておいて下さい。
水を飲むことで、オシッコと一緒に膀胱の中の細菌を体の外に出してしまいます。

トイレが汚れたままだとオシッコを我慢する仔がいます。
トイレの数を増やしてあげたり、常に掃除してきれいにしておいて下さい。

細菌性膀胱炎では、適切な抗菌剤の服用により数日で症状が消えます。
しかし、症状が取れた段階で抗菌剤を勝手に中止すると再発することがあります。
きちんと治さないと、慢性化して膀胱の壁が固く厚くなってしまいます。

オシッコの前後の動作を十分に観察し注意して下さい。
何か異常に気が付いたなら、早めに受診して検査を受けて下さい。
そして主治医の先生の指示に、必ず従って下さい。