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■ 慢性腎不全
ヒトでは腎臓病で「透析」や「移植」を行うなどの話を聞きます。
そしてこれらの処置を行うことにより、腎臓病の患者さんの命は保つことが出来ます。
では、ワンちゃん・ネコちゃんではどうでしょう?
血液透析はその装置や維持などの問題より、高額な医療となってしまいます。
また腎臓移植も、臓器提供などの問題があり一般的ではありません。
このような現状では、腎臓病は早期発見・治療が一番です。
腎臓機能の異常は、血液や尿の検査でわかります。
【慢性腎不全とは】
どの年齢のワンちゃん・ネコちゃんでも罹りますが、老齢になるにしたがい罹病率は増加します。
慢性腎不全はワンちゃんで約7歳、ネコちゃんで約9歳くらいから見られます。
また15歳以上のワンちゃんではその6%が、ネコちゃんで16%が慢性腎不全に罹っていると言われています。
またワンちゃんでは、メスに比べてオスに多く発症すると言われています。
慢性腎不全は、腎臓病を長期間持続して患った結果生じます。
そして慢性腎不全になった場合、悪化した腎臓機能は二度ともとの状態に戻ることはありません。
慢性腎不全は進行性の病気で、一般的には治療にもかかわらず悪化します。
そのため治療しなければ致死的となります。
腎不全を起こしたり、悪化させる状況を出来るだけ早く見つけ出し、改善しなくてはいけません。
そして慢性腎不全では、いかにその進行を遅らせるかが生存期間を延ばす大きな鍵となります。
腎臓機能が衰えてくると、血液中の尿素窒素とクレアチニンの濃度が増加してきます。
これは血液中の尿素窒素とクレアチニンの排泄が腎臓のろ過能力に依存するため、腎臓機能が衰えてくるとそのろ過量が減少してしまうからです。
そのため重度の慢性腎不全は尿毒症となります。
◆尿素窒素(BUN)とは
尿素窒素は体内でタンパク質が使われた後の物質で、肝臓で合成されおもに腎臓より排泄されます。
そのため、腎臓に障害がおこると腎臓からの排泄が滞り、血液中の尿素窒素の濃度が高くなります。
血液中の尿素窒素を測定することによって腎臓の機能、とくに老廃物をろ過する機能に障害があるかどうかの指標となります。
尿素窒素の濃度は、食餌中のタンパク質などの影響を受けてしまいます。
◆クレアチニンとは
クレアチニンは、タンパク質が筋肉でエネルギーとして利用された後に生じた物質で、すべて腎臓より排泄されます。
尿素窒素と同様に、腎臓の働きをみるための重要な指標です。
クレアチニンは食餌や尿量などに影響されることがほとんどありません。
そのため尿素窒素より正確であるクレアチニンは、腎臓のろ過機能の指標として用いられています。
血液中の経時的なクレアチニンの測定は、腎臓病の予後判定に利用されています。
【症状】
軽度な腎臓機能の低下では無症状であることが多く、腎臓機能の障害は検査でしか見つけ出すことが出来ません。
軽度から中等度の腎臓機能の低下で、血液中の尿素窒素とクレアチニンが上昇しても軽い症状が出るに過ぎません。
これは腎臓の組織の75%が死んでも、腎臓のろ過量が正常の半分までしか下がらないという腎臓機能の順応によるものなのです。
このように、慢性腎不全の症状はゆっくりと発現してきます。
慢性腎不全では、水をいっぱい飲みオシッコをいっぱいする多飲多尿の症状が見られます。
この症状は、一般的にはワンちゃんよりネコちゃんに多く見られます。
また食欲不振、元気消沈、嘔吐、便秘、下痢などの症状は、栄養不良と体重減少を起こしてきます。
栄養不良から体が痩せ頬がこけて顔つきが厳しくなるなど、全身の組織の消耗は慢性尿毒症の大きな特徴です。
末期になると、痙攣を起こしたり昏睡状態となります。
慢性腎不全では、貧血が起きます。
これは機能している腎臓の細胞数が減少した結果、赤血球産生を刺激するホルモンであるエリスロポエチンの産生が不足することが原因です。
【原因】
ほとんどの症例は特発性で、慢性び漫性腎症と呼ばれています。
知られている原因としては、先天性腎疾患、腎毒素、高カルシウム血症、低カリウム性腎症、糸球体腎炎、アミロイドーシス、腎盂腎炎、嚢胞腎、腎結石、慢性尿路閉塞、薬物、リンパ腫、ネコ伝染性腹膜炎があげられます。
【食餌管理】
慢性腎不全は、必ず末期慢性腎不全に進行しますので家庭での管理が大切になります。
その中でも食餌はとても大切で、低タンパク質、低リン、低ナトリウムなどの細心の注意を払う必要があります。
低タンパク食療法は末期慢性腎不全へと進行する速度を遅くしますので、絶対に行わなければいけません。
食欲不振にはカロリーの摂取量を増やすなどの必要があります。
また新鮮な水をいつでも飲めるようにしておきます。
【おまけ・ヒトでの透析】
急性腎不全でオシッコの排出量が少ないときに、腎臓機能が回復までの間予防的に使用したり、慢性腎不全で老廃物をオシッコといっしょに出すことが出来ないときに使用されます。
透析は体の中の老廃物と過剰な水分を取り除くことが出来るため、腎臓疾患だけでなく体内から薬物や毒物を除去する目的で使われることもあります。
透析には「血液透析」と「腹膜透析」の二つがあります。
「血液透析」では、体から血液を取り出して“透析装置(血液中の有毒物質をろ過する器械)”と呼ばれる体外の器械を循環させる処置です。
透析装置で血液の中の老廃物を取り除き、きれいに浄化して患者に戻します。
この操作を容易にするために、動脈と静脈の間に人工的な接続(動静脈瘻)が外科的に作られます。
「腹膜透析」では、腹膜がろ過フィルターの役を務めます。
ブドウ糖などで作られた透析液がお腹の中に差し込まれたチューブを通じて腹腔内に注入され、そこで組織から老廃物を引き出します。
老廃物が血流から透析液へ移動するのがゆっくりなため、透析液を腹腔内に長い時間残しておく必要があります。
使用した透析液は排出されて捨てられ、そして新しい透析液に交換されます。
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