あれ?見えてないのかな?「失明」

診察中に、眼が見えていないことを告げなくてはいけないことがあります。
そうすると、皆さんその言葉に最初は疑問を持つことがあります。

「眼ですが、ちゃんと見えてませんね・・・」
「えっ?・・・本当ですか?」
「はい。水晶体がもう透明じゃなくなってますよ・・外からみて白く濁って見えませんか?」

「あっ、本当・・・白い!」
「水晶体ってカメラのレンズと同じような働きをしているのですが・・・水晶体は普通は透明なんですよ!」

「でも、ちゃんと見えてますよ、ほら・・・・ね!?」
と言って目の前で手を振って見せてくれます。
「ね、まばたきするでしょ・・・これって見えてるってことですよね?」

お家の方も眼の異常には気がついてはいるんでしょう。
そして目の前で手を振ってみたこともあるのでしょう。
そうすると“まばたき”をするので見えていると思い安心していたのでしょう。

それは勘違いです。
見えてなくても気配で感じ、反射的に“まばたき”をするからです。

【突然の失明】

突然に失明して全く見えなることがあります。
この場合は普段と違い、いつもよりも動きがゆっくりです。
また周囲を見回すようにして、注意深く動きます。

この普段と違う様子から、
「眼が悪くなったのかしら?見えないのかしら?」
と気が付きます。

【徐々に起きた失明】


徐々に視力が落ちていく場合は、視力が悪くなるにつれ、他の感覚器・・・耳や鼻の
感覚が鋭くなっていきます。
今までよりも良く聞こえ、良く臭うように訓練されてしまいます。
そのため日常生活に必要な周囲の状況を覚えてしまい、毎日の生活には問題が無くなってしまいます。

このように徐々に失明した場合には、その状態に気が付かないことがあります。

【生まれつきの失明】


生まれつき失明している場合には、嗅覚と聴覚が発達して視覚には無関係に生活ができるようになってしまいます。
この場合にも、眼が見えないことに気が付かない場合があります。

【失明の判定】


目の前で手を振るのは視力の判定には全く役にはたちません。
手を振ることで周りの空気が揺らぎ、それによりまばたきをしてしまうからです。
これは反射によるものですから、視力とは全く無関係な動きなのです。

眼の前で物を動かし眼の動きを調べる場合には、その間に大きな1枚のガラス板が必要です。
ガラス板を隔てて動く物を眼で追ってくるかを観察します。
そうすれば、空気の揺らぎなどの影響を受けずに観察ができます。

片目の失明の場合には、片方の眼をつぶらせるようにしてその行動を観察します。
生活には片眼でも全く問題なく行動していますので、見える方の眼を包帯などでおおってしまうとその行動が全く変わってしまうことで判断できます。

【お家でできる失明の判定】

目の前から少し離た所で、綿を小さく丸めた物を1mぐらいの高さから落とします。 それを眼で追うかを観察します。

【重要事項】

緑内障や白内障など失明に至る病気は多くあります。
特に健康な仔でも知らないうちに罹る老齢性白内障は、徐々に進行し最後には失明することがわかっています。
早期に見つけだし、その進行を遅らせ快適な生活をおくらせてあげたいものです。

動物はヒトと違い自覚症状を言葉に出しませんので、症状がかなり進んだ時点での来院が多くみられます。
急に起こった場合には、直ちに病院での治療を開始する必要があります。

半年に一度は眼の健康診断を受けましょう。
詳細は“眼も診療可能な動物病院”を受診して、聞いて下さい。