クレゾール

クレゾールという名は、だれでも知っている消毒薬の成分です。
クレゾールは水に溶けないため石鹸液に溶かしてあります。
このクレゾール石鹸液は、水に溶かして薄めて使用します。

あの特有の臭いは昔の医療機関ではあたりまえで、昔の病院の臭いそのものでした。
クレゾールはフェノール系の薬物のため、水質汚濁防止法、下水道法により排水規制が定められていると聞きます。
現在ではその臭いや毒性、法的規制のため他の消毒薬が使用され、ほとんどの医療機関では使用されなくなりました。

でも近所には、今でもあの独特な臭いがする歯科医院があります。
昔の病院の雰囲気そのものです・・・・。
その歯科医院に行った方は服に臭いが吸着しているため、「歯医者さんの帰りだなぁ〜」とすぐわかってしまいます。

そんなクレゾールですが、昔から動物病院ではあの強烈な臭いはしません。
無臭のクレゾールを使用??そのようなこともありません・・・
実は、動物病院ではある理由からクレゾールを使用していなかったのです。

それは、ネコちゃんがクレゾールにとても敏感だからです。
クレゾールがネコちゃんの皮膚に付着すると、皮膚から吸収されて中毒を起こしてしまうのです。
クレゾールを舐めなくても症状を出し、場合によっては中毒死してしまうのです。

クレゾールの毒性を知らない方は、今ままで多数いました。
・庭がワンちゃんのオシッコで臭いから、クレゾールをまいた・・・
・家の中に入れるときに、足をクレゾールで拭いている・・・
・室内の床をクレゾール拭きしている・・・
・すごいのでは、ノミが体にいたのでクレゾールで洗った・・・

クレゾールはネコちゃんだけでなく、ヒトにも害を出した例があります。
平成8年に青森県のある公園で遊んでいた幼児たちが、やけどや意識混濁を起こした事件がありました。
公園にまかれていたクレゾールが原因だったのです。

クレゾールを「ネコよけ」などと、とんでもない目的に使用するヒトがいます。
でも、確かにクレゾールの臭いを嫌うネコちゃんもいます。
しかしこのようにクレゾールをまいた結果、ヒトに被害が出てしまうこともあります。


クレゾール中毒

クレゾールは組織に対して浸透性が強く、蛋白質凝固壊死を起こします。
皮膚から吸収されるだけでも、飲んでしまったのと同じ症状が出ることがあります。

【症状】

皮膚に付着した場合
 皮膚が白くなる、赤くなる、皮膚が壊死を起こす、知覚麻痺

内服してしまった場合
 口腔・食道・胃の粘膜の腐食による疼痛、腹痛、血便や食道・胃の穿孔
 めまい、痙攣、昏睡、血圧低下、不整脈、ショック
 肺水腫、呼吸不全、急性尿細管壊死による乏尿

【おまけ】

ワンちゃんの下痢を治すのに、市販薬でヒト用の薬である正◯◯(クレオソート製剤)を飲ませたが吐き気が出てしまった・・・なんてこともあります。
このクレオソートとはクレゾールと同類の成分なのです。
何か、臭いが似てませんか?
臭いが嫌いだから糖衣錠を・・・と言っても同じ薬です。
この薬をネコちゃんワンちゃんには飲ませないようにしましょう!

実はこの薬の添付文書には「皮膚に付着したらせっけん及び湯を使ってよく洗ってください。」と書かれています。
皮膚にはダメな薬を飲む? 解釈が難しいですね。
クレオソート製剤は下痢止めの薬ですが、医療用医薬品では用いられていません。

このクレオソート製剤も「ネコよけ」に使用している方がいらっしゃいます。
またこの日本では、自殺に使われることが一番多い消毒薬がクレゾール石鹸液なのです。
それだけ身近な物なのでしょうね、使用には十分に注意してください。